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検尿で異常と言われたら?

1.検尿で異常と言われたら?

尿は腎臓で作られます。体内の不用物は、血液によって腎臓に運ばれ、ここでろ過されて、余分な水分とともに、尿管から膀胱をへて、体外に尿として排泄されます。

ところが、腎臓をはじめ、体のどこかに異常があると、健康な時には存在しない物質が尿に混じってきます。そこで、尿を調べることによって、病気の診断の手がかりを手軽に得ることができるのです。

2.尿蛋白

1)尿蛋白とは?
血液中には、人間の生命活動に欠かせない蛋白が、常に一定量含まれています。それらの一部は、腎臓の糸球体でろ過されて尿に出てきますが、これらのほとんどは尿細管で再吸収されて血液中に戻ります。
腎臓の働きが正常ならば、尿に蛋白が出るといってもほんのわずかです。しかし、糸球体の基底膜に障害があると多量の蛋白がもれ出てきます。
2)正常値は?
健康な人でもごくわずかの尿蛋白が認められますが、試験紙では変色せず陰性(-)ならば正常です。しかし、激しい運動をした後や強いストレス下では、蛋白が陽性(+)になることも時にあります。
3)疑われる病気は?
腎臓病以外の原因によるものと、腎臓そのものが原因となるものとがあります。腎臓病以外の原因によるものは、もとの病気が治ると、尿蛋白も陰性化します。腎臓の病気によるものには、腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症などがあります。
4)異常値がみられたら?
尿蛋白が陽性の場合は、必ず再検査を受けて下さい。再検査でも陽性であれば、腎臓や尿路の精密検査を行って、腎臓の病気か他の病気かを診断します。

3.尿潜血

1)尿潜血とは?
腎臓や尿管、膀胱など、尿の通り道となる臓器に炎症や損傷などがあると、尿の中に赤血球が混じってくることがあります。これを尿潜血(血尿)といいます。
血尿には、尿の色が赤くてはっきりと血尿とわかる肉眼的血尿と、顕微鏡で調べないとわからない顕微鏡的血尿の二種類があります。
2)正常値は?
試験紙検査で陰性(-)なら正常です。
3)疑われる病気は?
泌尿器科領域では、膀胱炎などの尿路感染症、尿路結石、尿路腫瘍の三つが代表的なものです。
内科領域では、糸球体腎炎、IgA腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症などがあります。
4)異常値がみられたら?
一回の検査では病気か否かを判定することは困難です。また、一過性でまったく無害な尿潜血もあります。
再検査で異常と出たら、腎臓や尿路系の精密検査を受けて下さい。

4.尿糖

1)尿糖とは?
私達の血液中には、全身が活動するためのエネルギー源となる糖(ブドウ糖)が含まれています。血液中に含まれる糖の量が増えて、ある一定限度(一般には血糖が160mg/dl以上)を超えると、尿にもれ出してきます。これが尿糖です。
2)正常値は?
尿糖が出ていなければ、試験紙検査では陰性(-)を示します。これが正常です。
なお、副腎皮質ホルモンやビタミン剤などの服用や妊娠中では陽性(+)になることがあります。
3)疑われる病気は?
まず糖尿病が疑われます。また、若い人に多い腎性糖尿もあります。この腎性糖尿は、必ずしも病気とはいえず、特に心配はいりません。
4)異常値がみられたら?
必ず医療機関で血液検査を受けて下さい。そこで糖尿病と診断された方は、必ず専門医に相談し、定期的にチェックを受けましょう。
また、耐糖能障害や腎性糖尿と診断された方も、後に糖尿病に移行するケースもありますので、年に一度は定期健診を受けましょう。

5.尿ウロビリノーゲン

1)ウロビリノーゲンとは?
古くなった赤血球は、肝臓や脾臓で壊されます。その際、赤血球中のヘモグロビンはビリルビンと呼ばれる胆汁に含まれる色素に変化し、さらにウロビリノーゲンという物質に変化します。ウロビリノーゲンの大部分は、便とともに排泄されますが、一部は腸壁から吸収されて肝臓に戻り(腸肝循環)、そこから血液中に入り尿とともに排泄されます。ところが、肝臓が障害されたり、何らかの原因で赤血球が多量に壊れると、尿中ウロビリノーゲンが増えます。
2)正常値は?
健康な人でもわずかに尿ウロビリノーゲンが出ているため、疑陽性(土)か弱陽性(+)なら正常です。
3)疑われる病気は?
急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変や溶血性黄疸などの肝臓の病気が疑われます。
4)異常値がみられたら?
陽性(+)の場合は重大な病気の可能性があるので、すぐ専門医を受診しましょう。

6.PH

尿の酸性度(PH)はふつう、弱酸性で6~7が正常となっています。しかし、体に何らかの異常が認められた場合、そのPHは変化します。
尿のPHがアルカリ性に傾き8以上になることがあります。この場合、重度の腎盂腎炎や膀胱炎、急性腎不全などが疑われます。
逆にPHが酸性に傾きすぎると、尿管や尿道で結石を作りやすくなります。特に痛風で薬を内服している場合には、酸性に傾きやすいので注意しましょう。

7.まとめ

いずれにしても、1回の尿検査では十分に正常か異常かを判断することは困難です。異常を指摘されたらそのまま放置せず、必ず再検査を受けるようにして下さい。
また最近では、尿検査紙も市販されています。忙しくて健康診断を受ける暇がないという方も自分で検査を適宜行ってみるのもいかがでしょうか。

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