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循環器疾患に対する基礎知識

まとめ
1) 心疾患と脳血管疾患を合わせた循環器疾患の死亡率は、がんよりもずっと多い。今後は成人病対策が重要である。
2) 成人病に対しては、専門家と本人の協力が必要である。健康で長生きするには、各人が正しい知識を学び、適切な生活習慣を身につけることが大切である。
3) 人類出現に至る生物の歴史は、魚類からはじまる脊椎動物の大進化の物語である。
4) 胎児の発生の過程は、遺伝子(DNA)にプログラムされている。そのプログラムにしたがって、胎児の細胞は、自発的な死と積極的な増加を行っている。脳細胞と心筋細胞は、生後細胞分裂をしない。
5)それぞれの器官は互いに深い関係をもちながら、たくみに生命活動をいとなんでいる。
6) 循環器系では、心臓がポンプで、血管(動脈-毛細血管-静脈)がパイプに相当する。動脈の太い部分は血液を運ぶ導管であり、細い部分(細動脈)は血圧を調節する抵抗血管である。毛細血管では、組織との間で、栄養物や酸素のやりとりをする。静脈には全身の血液の60%が存在し(容量血管)、心臓にもどる血液の量はここで調節されている。
7) 狭心症、心筋梗塞は、いずれも心筋に栄養を送っている冠動脈に狭窄あるいは閉塞が生じ、心筋にいく血液の供給が減るか途絶えることによって起こる。狭心症には、 ①動脈硬化による「労作狭心症」、②冠動脈のけいれんによる「安静狭心症」、③動脈硬化とけいれんが混じり合って起こる「労作兼安静狭心症」がある。心筋梗塞とは、 こうした狭心症を背景にして、冠動脈の内腔が血栓によって完全閉塞した状態である。
8) 脳卒中による死亡率は減ったが、患者数はむしろ増えている。脳卒中の前ぶれとは、①高血圧症、糖尿病にかかることがすでに前ぶれ、②一時的な手足のしびれや、言語 障害は脳卒中のサインである。脳卒中を起こさないためには、血圧の管理と水分補給 が大切である。脳卒中には5つのタイプがある。我々専門家は、どのような危険因子 をもっているかによって、どのタイプの脳卒中が起こりやすいかを予測して治療している。
9) 心血管病の急性発症は、著しい日内リズムを示し、午前6~12時に増加している。この時間帯では、凝固能の亢進状態や冠動脈収縮の高まりがみられる。ここに身体的 あるいは精神的ストレスがプラーク(粥腫) 破裂の引き金となった場合に、血栓によ る完全閉塞の可能性が高まる。

 

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