熱中症 初夏も用心
今年も気温が上昇し、汗ばむ日が増えてきた。専門家によると、熱中症は夏だけでなく、暑さに体が慣れていない初夏も危険性が高いという。コロナ禍で定着したマスクは夏場は不快に感じることもある。飲み物も利用して効果的な予防に努めたい。
熱中症に詳しい群馬大の鯉渕典之教授(環境生理学)によると、熱中症には大きく分けて熱疲労となる脱水症と、熱けいれんが起こる脱塩症の2種類がある。脱水症は、体内に酸素が行き渡らなくなり、脱塩症は、筋肉や神経が動かなくなる。
簡単な対策はこまめな水分と適度なミネラルの補給。通勤や通学のようなじわっと出る汗は、塩分が少ないため、水で十分。体を冷やす効果もあるので、冷水がよい。スポーツや炎天下の作業で発汗量が多くなる場合は、意識的にミネラル分をとることが肝心だという。
鯉渕氏は「マスクをしただけでは熱中症にはならない」と説明する。ただ、顔を覆うので熱がこもって不快になるほか、はずすのが面倒なため、水分摂取を怠る場合もある。口の周りは温度感覚が鋭く、余計に暑さを感じやすい。着用時も首や顔を冷やすほか、こまめな水分補給も心がけよう。
読売新聞(2022.5.16)より