アニサキス食中毒注意
サバやアジ、カツオ、イカなどに巣くう寄生虫「アニサキス」による食中毒が後を絶たない。食中毒だけでなく、じんましんや息苦しさなどを引き起こす「アニサキスアレルギー」にも注意が必要だ。(山田朋代)
国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所(東京)客員研究員の杉山広さんによると、アニサキス食中毒は、生のサバやアジ、カツオなどを食べた際、寄生していた全長2~3センチのアニサキスが体内に入ることで起きる。30分~1日半の間に、頭部にある歯のような突起で胃や腸を突き刺して炎症を起こす。
2012年に食品衛生法施行規則が改正され、アニサキス食中毒の発生の報告が医療機関に義務付けられた。厚生労働省によると、24年のアニサキス食中毒の発生件数は330件で、食中毒全体(1037件)の3割を占め、ノロウィルスを抜いて最多だ。実際の発生件数はさらに多いとみられ、身近な食中毒といえる。
生魚を食べて腹痛が起きた場合、アニサキス食中毒を疑って、内視鏡検査ができる内科を受診したほうがよい。内視鏡で取り除けば症状は改善するが、取り除けない場合は数日間は痛みが続くという。
内閣府食品安全委員会によると、アニサキスは、マイナス20度以下で24時間以上冷凍すると感染性を失う。また、加熱する場合、60度で1分以上だと死滅し、70度以上だと瞬時に死滅する。
じんましんなどアレルギーも
アニサキスアレルギーにも注意が必要だ。
アニサキス由来のアレルゲン(原因物質)に対する抗体を持つ人が、食物と一緒にアニサキスを体内に取り込むとアレルギー反応が起き、じんましんなどの皮膚症状、息苦しさなどの呼吸器症状、腹痛や吐き気などの消化器症状が出る。アレルギー反応が出るまで、多くの患者は3~4時間だが、遅いと丸1日たってから症状が出ることもあるため、アニサキスが原因だと気づきにくい場合もある。
昭和医科大学病院(東京)呼吸器・アレルギー内科医師の鈴木慎太郎さんによると、アニサキスは、生体だけでなく、体の一部や分泌物、死骸でもアレルギーを引き起こす恐れがある。アニサキスの成分が含まれていれば、焼いた魚や魚肉加工品などでもアレルギー反応が起きる可能性がある。アニサキスアレルギーで重症になったことがある人は、全身に出るアレルギーや、急性アレルギー反応の「アナフィラキシー」を和らげる注射薬「エピペン」を持ち歩くなどの対策が必要だ。
鈴木さんは、「魚を食べた後に何らかのアレルギー症状が出た場合には、アニサキスアレルギーを疑ってみてほしい」と話している。
アニサキス食中毒の予防方法
- アニサキスはしょうゆや酢、ワサビなどでは死滅しない。
- マイナス20度以下で24時間以上冷凍する。または、60度で1分以上か、70度以上で加熱する。
- 魚の内臓はすぐに取り除き、生では食べない。
- 食べる前にアニサキスがいないかどうか、目で見て調べる。紫外線を出すブラックライトを当てると、アニサキスが光って見つけやすくなる。
(厚生労働省と食品安全委員会の資料に基づいて作成)
読売新聞(2025.9.4)より
