高血圧症とは?
1.なぜ高血圧が問題になるのか?
日本人の人口は1億2千万人ですが、高血圧の人はたいへん多く、約2千万人いるといわれています。これは成人の約4人に1人が高血圧になる割合です。さらに高血圧は、自覚症状があまりないので放置されやすく、脳卒中や心臓病などの合併症を引き起こす場合が多いのです。
2.血圧とは?
心臓は、血液を身体全体に送り出すポンプの役目をしています。血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁に働く圧力のことをいいます。心臓が縮んで身体に血液を送り出したときの血圧を最高血圧(収縮期血圧)、心臓が広がって血液を心臓のなかに取り込んでいるときの血圧を最低血圧(拡張期血圧)といいます。
血圧は、同じ人でも20~30mmHg位変動するのが普通であり、さらに次のようないろいろな条件によっても変わります。
1) 血圧の1日の変化
2) 運動やストレス、興奮、緊張
3) 年齢
4) 季節
5) 塩分の多い食事
3. 高血圧症の基準
収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧といいます。
正常血圧は、120/80mmHg以下です。
4.家庭血圧の測り方
家庭での血圧測定は、起床後と就寝前に2回ずつ測定し、朝と夜それぞれの平均値を出します、朝は起床後1時間以内で、排尿後、朝食や薬を飲む前に測ります。夜は就寝前に測ります。
血圧の数値は、座り方によっても違ってきます。寝たままや正座をした状態では正確に測れないので、必ずいすに腰掛け、1~2分安静にした後に測りましょう。
5.症状
高血圧症はだいたい30~50歳の間に発症します。自覚症状があまりないので、発症しても気付かず、健康診断や他の病気の診療の際に指摘されることが多いようです。高血圧が長く続くと、心臓や脳、腎臓などの大切な臓器が障害され、これらによる症状が出ます。
6.治療
高血圧症の治療では、ただ血圧を下げれば良いというものではありません。心臓病や脳卒中などの合併症を防ぐという狙いがあります。
軽い高血圧症の場合は、一般療法で血圧を下げることができます。それでもなかなか下がらない時は、薬を飲むことになります。
1) 食事療法
①減塩
食塩を多く摂取すると血圧は一般に上がります。高血圧の人が血圧を下げるためには、1日7g以下にすることが望ましいでしょう。
②肥満防止
肥満体の人には高血圧が多いことが知られています。このような人が、減量して2~3kgやせると、血圧も下がってきます。標準体重を維持しましょう。
今までの食生活や味覚を急に変えることは、難しいことです。しかし、食事療法は、他人任せでは成功しません。自分の口に入るものに気を配り、関心を持つようにしましょう。
2) 運動療法
運動をすると、その直後血圧は一時的に上昇しますが、定期的に何週間も続けるとゆっくり血圧は下がります。
運動の程度は、1日20~30分ぐらい、軽く汗ばむくらいが最適です。軽いジョギングや早歩きをするといった簡単な方法でも差し支えありません。
3) 薬物療法
食事療法や運動療法をしても血圧の下がらない人や、重症・中等症の高血圧の人は薬を飲まなければいけません。降圧薬には、たくさんの種類があります。血圧降下薬は、作用のおだやかなものから始めます。すぐに血圧が下がらないといって勝手に量を増やさないで下さい。また、血圧が下がったからと言って、自分勝手に薬をやめたりせず、医師の指示に従って下さい。
7.日常生活の注意事項
1) ストレスを避け、十分な休息を。
ストレスは、肉体的なものであれ、精神的なものであれ、血圧を上昇させます。また、過労も血圧を上昇させる1つの因子です。
2) 禁煙に努めましょう。
喫煙は、血管を収縮させて、血圧を上げます。しかも、煙草を吸えば吸うほど、心臓病の発生率も高くなります。
3) アルコールは程々に。
お酒は、ストレス解消にたしなむ程度ならば良いでしょう。毎日飲む人でも、日本酒なら1合、ビールなら大ビン1本くらいにしましょう。
4) 温度差に注意しましょう。
冬の外出時は、暖かい服装をし、夏のクーラーは冷やし過ぎないようにしましょう。
5) 便通を良くしましょう。
便秘で力むと、血圧も上がります。消化吸収の良い食事を取るようにしましょう。